宮城県図書館

宮城県図書館・外観

概要・特徴

設計 建築 原広司+
アトリエ・ファイ建築事務所
構造 KSP+オーク構造設計
設備 建築設備設計研究所
サイン HILOデザイン研究所
アート
計画
アートフロントギャラリー
施工 大林・鴻池・深松共同企業体
敷地面積 55,278.74 m2
建築面積 6,515.703 m2
延床面積 18,227.226 m2
階数 地下1階 地上4階 塔屋1階
構造 鉄筋コンクリート造
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄骨造
工期 1995年10月〜1998年3月

宮城県図書館は原広司+アトリエ・ファイ建築研究所が設計し、 1998年3月に開館したと図書館である。それまで仙台市宮城野区にあった既存施設の老朽化のため仙台市郊外の泉区に移転、建設された。構造は SRC・RC ・S、地上4階、地下1階で延べ床面積は17,550 m2 である。敷地は仙台市郊外の泉パークタウンの雨水調整地の一部であり、地形の変化に富んでいる。2つの尾根筋とそれに挟まれた谷を有するこの敷地に、それらと直行するように 200 m の建物が架かっている。
建築物は鉄筋コンクリート、造鉄骨鉄筋コンクリート、造鉄骨造の複合体である。空中閲覧室と名付けられた3階の閲覧室には、17mもの鉄骨の梁を利用したモール形式により柱がなく、レイアウト自由な空間をつくりあげている。1、2階の外壁は高さ11 mもあるガラスの壁であり風圧に耐えるため水平方向に耐風梁が設置されている。
また、「公園の中の図書館」というコンセプトの元、アート計画も充実している。アーティストが参加し、照明灯や屋外水道施設の覆い、外交サイン、屋外遊歩道と東屋などのコラボレーションを見られる。谷の地形を利用した多様なプレゼンテーションが可能な階段舞台・地形広場「ことばのうみ」などの施設もある。

エントランス2階よりエントランスを望む地形広場「ことばのうみ」より見上げる
航空機のような書架閲覧スペース

上左:1階エントランスより 上中:2階よりエントランス方向 上右:地形広場「ことばのうみ」より上部を望む
下左:3階書架 下右:3階・1段上がった閲覧スペース

感想・考察

谷に架かる200 m もあるアルミのパイプのような建築物は、橋のような、といったら感じがよいが、橋というにはあまりにも巨大で、そして、1、2階の外壁がガラスの壁ということも手伝って、漂着した宇宙船が森の中に横たわっているようであった。
「自然の中の図書館」「公園の中の図書館」というコンセプトらしいが、その内部は「自然」「公園」とはまったく異質の空間がそこには広がっている。確かに木々の中には存在しているのだが、けして自然を受け入れない隔絶したものがそこにはあると感じた。
ガラス張りで光輝く1階エントランス部分と対照的に閲覧室は銀の筒の内部であり薄暗い印象を持つ。尾根筋と垂直方向の空間の広がりを重視したためか、構造的に長辺側には大きな窓が取れず、閲覧室はさながら航空機か宇宙船の中にいるようである。せっかく広がる自然を目の前に読書をしてみたい気もするがコンクリートの分厚い壁がそれを遮っているように思える。
また、原広司は新建築1998年5月号において、この宮城県図書館をきっかけを与えてくれる「アトラクター」 という存在にしたいというようなことを語っているが、建築物はアトラクターにはなり得ないと本文で言い切ってしまっている。それを表しているような建築だった。